養殖

養殖

魚にとって鉄は身体づくりの基礎であり、鉄が不足すると増体不良や免疫力低下といったあらゆる症状が発生しやすくなります。増体不良におちいってしまった魚では、歩留まり率や生存率の低下に繋がっていきます。

他にも海水の貧栄養化や生簀での水質悪化といった飼育環境の悪化などがありこれらの問題を少しでも改善するためにリモナイトの研究をしています。

マダイの増体

リモナイトを給与することで体重が増加することが確認されました。マダイの稚魚をリモナイト添加1%区と0.25%区に分けて50日間飼育試験をすると、1%の方がより高い値になり濃度依存性があることが示されました。

マダイにおけるリモナイト添加効果を参考に作成
参考文献

石川学. マダイにおけるリモナイト添加効果. 鹿児島大学水産学部, 2021,

酸化ストレス

酸化ストレスを受け続けると肝臓への負荷や免疫力低下、成長鈍化などの可能性が増えます。

試験では血液検査で酸化ストレスに対する抵抗性を示すBAP(抗酸化能)が1.0%区で増加し、リモナイト摂取により抗酸化能が向上する可能性が示唆されました。また、酸化ストレスに応答して濃度が上昇する物質TBARS値も減少しており魚の体内酸化ストレスが低減していると考えられます。

マダイにおけるリモナイト添加効果を参考に作成
参考文献

石川学. マダイにおけるリモナイト添加効果. 鹿児島大学水産学部, 2021,

ブリの身質

リモナイトを0.5%給与したブリの鮮度測定を行い、K値の上昇を抑制させる傾向が確認されました。K値とは鮮度の指数として用いられ、K値が低いほど魚の鮮度が良いとされており、刺身で食べれる値を約20としています。試験では密封容器に入れ4℃で冷蔵保存し経時的に測定しました。96時間経過後に試験区では23.27、対象区では27.90でより鮮度が保てていることが分かります。

ライトマリン給餌がブリ及びマダイ筋肉の色調及び鮮度に及ぼす影響を参考に作成

合わせて色調も検査しました。ブリの血合肉の変色を抑制する傾向が見られ、より赤味のある身であることが確認できます。

参考文献

石川学. ライトマリン給餌がブリ及びマダイ筋肉の色調及び鮮度に及ぼす影響. 鹿児島大学水産学部, 2021,

広島県. “魚の生鮮度「K値」”. 広島県公式ホームページ.  https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/26/foodfaq1-3.html ,

北海道水産林務部. “生鮮水産物 鮮度保持マニュアル”.地方独立行政法人 北海道立総合研究機構.  https://www.hro.or.jp/list/fisheries/research/central/section/kakou/att/j12s220000000vis.pdf ,

ブリの歩留まり

ブリでもリモナイトを給与することで斃死数が減少することが確認されました。歩留まり率を0.4%添加の試験区と対照区で比較すると、試験区の最高値は98.5%で対照区は95.2%となりました。また、重量も増加したことから大きくて丈夫な魚に成長することが分かりました。

「ライトマリン」、ブリへの給餌に関する資料を参考に作成
参考文献

株式会社日本リモナイト. 「ライトマリン」、ブリへの給餌に関する資料, 2020,

車海老の増体と歩留まり

池に散布することでアンモニアやリンを吸着し、車海老の飼育環境の改善や増体が見込まれます。

試験では池にリモナイトを散布すると車海老の体重が増え歩留まり率も増加しました。未散布は出荷前の平均体重が20.52gに対し散布後の出荷前平均体重は24.80gとなりました。歩留まり率も11.5%増加しより大きくて丈夫な車海老に成長することが確認されました。

リモナイト車海老養殖試験結果を参考に作成
参考文献

株式会社日本リモナイト. リモナイト車海老養殖試験結果, 2016-2017,

藻類増殖用付着基質

藻類といった水中植物が群衆を形成している場所を藻場といい、藻場では海藻、プランクトンや魚類の餌場や産卵の場でもあり、藻場に生息する動物群にとって重要な役割を担っています。化学物質の流入や磯焼けといった様々な要因から藻場が減少し、生態系のバランスや海中環境の悪化といった問題が発生していきます。海の保全と木材業界低迷による木材利用の減少を改善するために試験を行いました。

木材を繊維化したものにセメントペーストと各試験剤を配合した木毛セメント板を基質とし、3か所の沖に設置しました。結果はリモナイトを配合した基質は植生量が増加しており、藻類の付着効果が高まることが確認できました。

藻類増殖用付着基質の開発を参考に作成
参考文献

中村哲男,高橋孝誠,内川純一,平山泉,山下博和,那須博史,鳥羽瀬憲久,加藤英之,能田清隆,情報デザイン部,情報デザイン部(現,生産技術部). 熊本県工業技術センター研究報告 平成14年度. 熊本県水産研究センター. 株式会社哲建設. 藻類増殖用付着基質の開発. 熊本県工業技術センター, 2002,

YouTube


研究データの全文や他の研究データを閲覧する場合は

こちらより会員登録を行ってください。

error: