その他

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リモナイトの様々な分野での研究を行っています。

多岐にわたるリモナイト研究の一部を紹介します。

阿蘇黄土基礎研究

阿蘇黄土の基礎的性状を把握するために平面方向と深さ方向の成分の違いや焼成した際の比表面積などをの分析を行いました。

参考文献

末永知子, 蔵本厚一, 高水恵. 阿蘇黄土等のキャラクタゼーションに関する研究. 熊本県産業技術センター研究報告書 No.47. 熊本県産業技術センター, 2008,

血液

生物の生命活動に必須である鉄分を摂取することで、様々な効果が実感できます。貧血気味な動物である牛や豚にリモナイトを給与し試験を行いました。牛の血液検査では血清鉄分濃度、血液免疫細胞などの増加が確認されました。豚では行動調査から他個体の接触行動の減少、休息行動が増加したことからストレスが軽減したことが考えられ健康的な豚になると思われます。また、どちらでも体重が増加したことから成長に必要な鉄分の重要性が分かります。

MSミネラソの乾乳期投与による母牛と子牛の健康維持の効果に関する検討を参考に作成
各行動発現割合
子豚の生理状態、発育ならびに行動に対する阿蘇黄土(リモナイト)給与の効果より引用

人間も鉄が不足すると動悸やめまい、倦怠感など身体的だけではなく精神的にも影響があり様々な症状が起こります。鉄過剰摂取について、専門家の見解では口からの摂取が一番自然であり過剰症は起こりらないと言われています。

中竹俊彦先生(元杏林大学教授)よりコメント

1)リモナイトという原料は、三二酸化鉄(FeO・Fe2O3)という鉄の酸化混合物で、酸化鉄(Ⅱ)(FeO)や酸化鉄(Ⅲ)(Fe2O3)の混合体ですから、これらが相互に変換する不安定な状態で「熟成」の調整が微妙なタイミングであると考えます。

2)これらはほとんど水に溶けずに、動物が食べると、豚でも犬でも猫でも、人間でも、胃液に出てくる胃酸(いわゆる塩酸の薄い分秘物)で鉄イオン(三価のイオン化)したものが、溶解・解離してきます。解けるというのはそれだけです。

3)イオン化した分だけが、食物中の還元性物質(ビタミンC、システインなど)で二価イオンに変化したものだけが吸収されます。しかも、吸収の部位は胃の次に位置する十二指腸の上部で、胃液の酸性が残っている時間内に腸粘膜内に吸収されます。

4)十二指腸の中も少し位置が下にくだると、胆汁や膵臓液が混じってくる位置まできて、「十二指腸液」というアルカリ性分泌液が十二指腸へ分泌されて酸性も中和されるので、すぐに鉄分も吸収できなくなります。

【便が黒っぽくなる理由】

5)つまり、摂取した総鉄分の百分の1以下が塩酸の作用で、非常に限局的に還元された、しかも吸収部位もわずかな区間でしか吸収できないので、体内には必要な分しか吸収できない仕組みです。したがってヒトでも動物でも、食べた鉄の総量:例えば鉄剤を100mg服用した場合でもそのうちの、生理的な微量(24時間で1mg)しか吸収できないのです。ほとんど吸収できなくて排便されるので便が黒くなるのは、無用な鉄だからです。したがって、「口からの過剰摂取」というのは胃が受け付けず、また吸収過剰症も成り立ちません。

【過剰摂取にならない理由】

6)餌や食物に鉄をいかに多く配合しても、一日で生理的に要求される鉄分しか吸収できませんので、他の金属にあるような亜鉛中毒やその他の「中毒症」ということは起こりません。ただし、過剰な「注射用鉄製剤の注入」と過剰な「繰り返し輸血」は、鉄過剰症という「医療で生じる:医原病という極めて稀な例」があります。

リモナイトのサプリメントを飲んだ人の血液を測定しました。飲み続けて1ヶ月で血清鉄の数値が上がり、正常な状態に戻りました。これにより、人間も含めて動物に対して鉄分不足を解消することがわかりました。

40歳女性の血液検査結果
株式会社日本リモナイトの試験結果より引用
参考文献

小岩政照. MSミネラソ投与によるホルスタイン子牛の成長促進効果に関する検討. 酪農学園大学, 2014,

小池品琴, 本田憲昭, 岡本智伸, 椛田聖孝. 子豚の生理状態、発育ならびに行動に対する阿蘇黄土(リモナイト)給与の効果. 東海大学紀要農学部, 2009

塗壁

アセトアルデヒドは建築物で使用される塗料や接着剤に含まれていることがあり、吸入すると頭痛やめまいなどの症状が現れ、シックハウス症候群の原因となります。最近では建材や生活用品から発生する多様な化学物質による空気汚染が問題視されており、住宅の高気密高断熱が進むにつれて人体へ悪影響を与える可能性があります。

アセトアルデヒド吸着試験では、初期濃度の10ppmが1時間で3ppmまで減少することが確認されました。これにより、リモナイトを配合した塗り壁などを使用することでアセトアルデヒドをはじめとした化学物質を吸着し、シックハウス症候群といった健康被害を抑えることができます。

株式会社日本リモナイトのアセトアルデヒド吸着試験を参考に作成
参考文献

厚生労働省 医薬・生活衛生局 生活衛生課. “シックハウスの対策ページ”. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124201.html ,

国土交通省. “快適で健康的な住宅で暮らすために”. https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/sickhouse.files/sickhouse_2.pdf ,

くまもと塗壁研究所株式会社. “熊本竹入かぐや壁”. http://kumamoto-nurikabe.info/kaguyakabe/ ,

株式会社日本リモナイト. アセトアルデヒド吸着試験. 2013,

菌や微生物

リモナイトと珪藻土を混ぜたものをリモ珪藻土とし、その上にインフルエンザウイルスA型(H3N2)を2時間作用させたのち、MDCK細胞に感染させ、ウイルスの感染価を評価しました。コントロールと比較して、インフルエンザウイルスA(H3N2)の感染力を99.8%以上低下させる効果があります。

インフルエンザウイルス感染力減少効果
リモ珪藻土の抗ウイルス効果評価試験より引用

大腸菌は腸内に存在しますが種類によっては人に下痢などの消化器症状を起こすことがあります。例えば病原性大腸菌のO157による食中毒が飲食店などで例年発生しており社会問題となっています。そこでリモナイトによる効果の検証を行いました。

リモナイトや工業製品の水酸化鉄や酸化鉄などを軟寒天培地にて大腸菌を培養した結果、非病原性大腸菌のDA5aと病原性大腸菌であるO157、O138はどれらも増殖抑制効果が見られました。またO157、O138はコロニーの観察こそあるものの大きさが明らかに小さくなり、リモナイトには非病原性だけではなく病原性大腸菌を増殖抑制する効果があることがわかりました。

阿蘇黄土による病原性大腸菌の増殖抑制効果の検討より引用
参考文献

株式会社日本リモナイト. リモ珪藻土の抗ウイルス効果評価試験. 2021,

濵田浩一, 鈴木麻里, 辻誠, 蔵本厚一, 水谷顕洋.阿蘇黄土による病原性大腸菌の増殖抑制効果の検討.日本薬学会, 2014,

下水汚泥のメタン発酵プロセスに対するリモナイトの効果

下水汚泥に0.5%~10%のリモナイトをそれぞれ添加して嫌気発酵を行いメタン生成量を測定すると、低濃度の0.5%及び1%添加では対照と同程度のメタン生成量に対して、高濃度の10%添加ではメタン生成を完全に抑制することができました。また、試験後の下水汚泥を定量PCR(qRT-PCR)を用いて微生物の解析を行うと古細菌が10%添加で最も減少していたことが確認されました。古細菌の分類にはメタンを生成するメタン生成菌が含まれており、これらの試験によりリモナイトはメタン生成微生物の活動を阻害している可能性が考えられます。

リモナイト添加率ごとのメタン生成量
Effect of Aso limonite on anaerobic digestion of waste sewage sludge より引用
参考文献

Nurul Asyifah Mustapha, Shotaro Toya and Toshinari Maeda, Effect of Aso limonite on anaerobic digestion of waste sewage sludge, AMB Express, 2020,

凝集性と減容化

リモナイトによる凝集性や減容化を確かめるため曝気槽の汚泥への添加試験を行いました。添加量変化による凝集効果の違いは0.08gから界面に差が見られ、0.30gと対象の差は9mLとなりました。結果をもとに実際の浄化センターで試験を行い、SV30(30分後の活性汚泥沈澱率)は対照区が35前後に対し試験区が22前後まで減少しました。

凝集に及ぼす特殊土壌添加量の効果
熊本阿蘇特殊粘土添加による曝気槽汚泥の凝集性向上と減容化の可能性より引用

またMLSS(活性汚泥浮遊物質)の測定値は月初めと月終わりの差を正味のMLSS減少量とし、初期濃度と比較すると比例関係があり、MLSSが1500mg/L以上の時にリモナイトを添加するとMLSSとSVは減少しました。

初期MLSSの正味MLSS減少量
鉱物(褐鉄鉱/リモナイト)添加による 下水汚泥の減容化に関する研究より引用
参考文献

原田 浩幸, 蔵本 厚一. 熊本阿蘇特殊粘土添加による曝気槽汚泥の凝集性向上と減容化の可能性. 2011,

原田 浩幸,大浦 誠一朗,蔵本 厚一,高水 恵. 鉱物(褐鉄鉱)を通気タンクに加えることによる下水汚泥の減容化に関する研究 . 2011,

原田 浩幸,大浦 誠一朗,蔵本 厚一,高水 恵. 鉱物(褐鉄鉱/リモナイト)添加による 下水汚泥の減容化に関する研究 . 2011,

油の吸着

リモナイトには油を吸着する特徴があり、サラダ油と水を混ぜたものにリモナイトを添加し振とう機にかけ、油の除去率を試験しました。油1に対してリモナイト0.5を添加し、振とう10分で50%以上、30分で80%以上の油を除去しました。

サラダ油除去に及ぼす阿蘇黄土の油模擬廃水の振とう時間
阿蘇黄土を利用したグリストラップ廃液処理に関する研究より引用

飲食店や食品工場、食堂といった場所に設置されているグリストラップには、毎日油脂や食べ物の残り、洗剤などが大量に流れ込みます。これらが蓄積されることにより配管詰まりや悪臭の原因、害虫の発生など様々な問題が起こりうる可能性があります。

工場内社員食堂のグリストラップでは油が硬化するほどの状態でしたが、リモナイト添加直後には油が軟化し、清掃が簡単に行うことができました。継続的な使用で清掃回数の削減、悪臭の低減などが期待できます。

2ヶ月間継続的な使用
参考文献

末永 知子,納崎 克也. 阿蘇黄土を利用したグリストラップ廃液処理に関する研究. 熊本県産業技術センターカスタムメイド試験研究報告. 熊本県産業技術センター, 2013,

遠赤外線

遠赤外線とは赤外線の種類の1つであり、人の目には見えない電磁波のことで、放射された遠赤外線が物質に届き吸収されるとその物質の分子を振動させる働きがあり、振動することで摩擦熱が発生し物質が暖かくなります。リモナイトを焼成したリモナイトセラミックは水槽や河川の水質浄化や飲み水の残留塩素(カルキ)を吸着することができます。

セラミック類は遠赤外線発生量が多いと言われており、タイル状に成型したリモナイトセラミックを入浴直後から足元に置き、サーモグラフィカメラで温度の変化を試験したところ、15分経過後でもブランクより保温していることが分かりました。また、遠赤外線放射測定をしたところ積分放射率が95.0%、表面温度が40℃と高値を示しました。


遠赤外線試験写真より引用
参考文献

株式会社日本リモナイト. 遠赤外線試験写真. 20??,

日本板硝子テクノリサーチ株式会社 伊丹事業所. 遠赤外線放射測定試験報告書. 2006,

藻類増殖用付着基質

藻類といった水中植物が群衆を形成している場所を藻場といい、藻場では海藻、プランクトンや魚類の餌場や産卵の場でもあり、藻場に生息する動物群にとって重要な役割を担っています。化学物質の流入や磯焼けといった様々な要因から藻場が減少し、生態系のバランスや海中環境の悪化といった問題が発生していきます。海の保全と木材業界低迷による木材利用の減少を改善するために試験を行いました。

木材を繊維化したものにセメントペーストと各試験剤を配合した木毛セメント板を基質とし、3か所の沖に設置しました。結果はリモナイトを配合した基質は植生量が増加しており、藻類の付着効果が高まることが確認できました。

設置した基質に付着した藻類の植生量
藻類増殖用付着基質の開発より引用
参考文献

中村哲男,高橋孝誠,内川純一,平山泉,山下博和,那須博史,鳥羽瀬憲久,加藤英之,能田清隆,情報デザイン部,情報デザイン部(現,生産技術部). 熊本県工業技術センター研究報告 平成14年度. 熊本県水産研究センター. 株式会社哲建設. 藻類増殖用付着基質の開発. 熊本県工業技術センター, 2002,

防虫

リモナイトの持つ防虫効果についてヤマトシロアリとイエシロアリを調査対象として試験を行いました。野外試験では試験区として植木鉢に1cm及び5cmに積層にしたリモナイトと餌木を入れて、餌木までの侵入数を調査したところ、侵入していたのは対照区のみで試験区の1cmと5cm積層のどちらの餌木にもシロアリの侵入は認められませんでした。屋内試験なども踏まえると1cm幅での積層処理でもシロアリによる木材侵入は遅延させる効果があることがわかりました。

野外試験写真
阿蘇リモナイトによる防虫効果に関してより引用
参考文献

秋野順治. 阿蘇リモナイトによる防虫効果に関して. 京都工芸繊維大学, 2023,

光フェントン反応による環境浄化

光フェントン反応は、Fe3+から還元されたFe2+と過酸化水素のはたらきによって発生するOH ラジカル(OH・)が環境中の有害物質を分解し、環境浄化を行うものです。これまでの研究において鉄としてリモナイトを腐植物質として段戸フルボ酸を用いた光フェントン反応を行っており、リモナイトと腐植物質複合体を加えて光照射(間接光分解)した方が、直接光を照射(直接光分解)した方に比べて、より多くの分解対象物が分解されることを確認しました。また300℃で焼成したリモナイトに段戸フルボ酸を加えたものが最もトリクロロフェノールを分解し、活発な光フェントン反応が誘起されたと考えられます。

これにより、フェントン反応のサイクル中の鉄としてリモナイトを用いて、天然のもののみを用いた環境に優しい浄化作用が可能であることが示唆されました。

参考文献

矢島博文.リモナイト添加が腐植物質の溶存状態に与える影響とリモナイトの環境浄化作用に関する研究. 東京理科大学, 2009,


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