リモナイトによる水質活性

リモナイトによる水質活性

池や河川では自然界で生息するバクテリアが有機物を分解除去し水質を保ちます。しかし、水中にミネラル分が不足するとバクテリアの活動が低下し有機汚濁が進行します。リンや窒素が増えすぎるとそれを養分にしている植物プランクトンが増殖し、富栄養化を促進します。さらにアオコの発生も招き、水質汚濁が進行します。その結果水中の酸素不足により、他の水生生物の成長にも大きな影響を与え生態系を破壊してしまいます。

水酸化鉄をはじめ多くのミネラル要素が含まれているリモナイトを汚れた水に添加することにより、過剰リンの吸着除去します。またミネラル分が水に付与されバクテリアが活発になり水質浄化を促進します。

参考文献

国立研究開発法人 国立環境研究所. “富栄養化と有毒アオコ”. https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/07/05.html ,

渡邊圭司. “県内河川における細菌の分布と水質との関係 ~目に見えない生き物は何をしているのか~”. 埼玉県, https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/122322/3_youshi-watanabe.pdf ,

リンの吸着

アオコの増殖に必要な主な栄養源として炭素、窒素やリンがあげられます。このうち炭素は生物の呼吸により二酸化炭素として、窒素は硝化細菌によって窒素ガスとして大気中に放出されますが、リンは閉鎖水域の循環系から出ていくことはありません。そのためアオコなどの増殖を防ぐためにはリン濃度を低減することが効果的と考えてられています。

水路工事現場で採水したサンプルにリモナイトを添加する試験を行った結果では、サンプルのみとサンプル+汚泥のどちらもリン濃度は減少し、リモナイトによるリンの吸着が確認できました。

ライトクリア散布室内試験結果報告書を参考に作成

他にも小倉城の水堀内へリモナイトを添加し水質測定を行った結果、添加地点の上流と下流でリン濃度の差が生まれ、吸着できていることが確認できました。

小倉城の水堀内へのライトクリア散布試験結果報告書を参考に作成

水処理施設ではペレット状にしたリモナイトを沈殿槽に敷設し藻の繁殖とリン、窒素濃度などを測定しました。結果は敷設部分の藻の繁殖は見られず、敷設していない場所でも従来より繁殖が抑えられていることがわかりました。

リンや窒素も減少傾向が見られ、リモナイトは藻の繁殖の抑制効果があることが確認できます。

参考文献

株式会社日本リモナイト. ライトクリア散布室内試験結果報告書. 2005,

株式会社日本リモナイト. 小倉城の水堀内へのライトクリア散布試験結果報告書. 2005,

株式会社日本リモナイト. 最終沈殿池越流槽におけるリモナイトを使った藻繁殖抑制の取り組み . 2004,

BOD/CODの測定

BODは生物学的酸素要求量、CODは化学的酸素要求量といい、水中の汚濁を測る指標として用いられています。BODは水中の細菌が汚濁を分解するために使った酸素の量に対しCODは化学薬品を使って消費された酸素の量を目安にします。これらの値が大きいほど酸素の消費が多いため、汚濁が進行していることになります。

試験では住宅地内の池から採水し、BOD/CODの測定を行いました。結果はリモナイトを添加することで凝集沈殿を起こし、BOD/COD共に減少しました。

セメント工場敷地内用水路のライトミネラル処理実験結果報告書を参考に作成
参考文献

株式会社日本リモナイト. セメント工場敷地内用水路のライトミネラル処理実験結果報告書. 2004,

土壌浸透浄化材の比較

新しい土壌浸透浄化法を検討し、除去性能とコストに優れた浄化材の開発のため比較試験を行いました。試験方法は浸透ろ過槽に河川水を通水し浄化能を確認します。検査項目はBOD、DOCやT-P、T-Nなどで比較土壌は黒ボクや添加材、汚泥といった多数の浄化材候補を団粒化試験やカラム試験でリモナイト、赤玉土、上水汚泥、赤土の4種に選定し、実証試験を行いました。

リモナイトに関してはカラム試験により溶存有機物除去に優れていると判明し、実証試験ではリン浄化能が期待できます。それぞれの材料の長所短所を理解し、改良やそれらを組み合わせた複合型土壌浸透浄化材なども検討できます。

土壌浸透浄化材比較実験を参考に作成
参考文献

春木二三男,中村超,田井中善雄,和田桂子,三井光彦. 土壌浸透浄化材比較実験. 国土交通省近畿地方整備局琵琶湖工事事務所,財団法人琵琶湖・淀川水質保全機構, 2002,

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